2005年11月30日
情報系Geekと一般社会の感覚の乖離、そして危惧すること
Geekの活躍に喝采しながらも、頭の隅でひっかかっていて私自身書きたいと思っていたこと。
RSS リーダの存在を知れば、みな感激して飛びつくに違いない、と考えるナイーブさは、「こんなに素晴らしい商品が売れないはずがない」といって営業に食って掛かる技術者と同じ。
消費者に敬意を払わないで、どうやって成功するつもりなのか。
一応断っておくと、私はこの記事で書かれているmalaさんは、会った事はないですが敬意を払っております。
入門AJAXにmalaさんが低い評価?を与えているのを見て、あちゃー、しまった注文しちゃったよ取り消せないかなーとか思ってるくらいです(とか言ってる間に届きましたが)
最近先端技術にキャッチアップする余裕がなくなって、JavaScriptに関してはほったらかしてますが、もし取り掛かれるようになったらmalaさんサイトは全部嘗め尽くそうとか思ってます。
malaさんに敬意を払っているという意味においては、多分元記事を書かれた人もそうだと思います。
ただ、malaさんに限らず、Geekと今言われている人々の多くの感覚に違和感を覚えていたのが、なんだか自分たちの世界だけで全てが完結しているかのような印象を与える物言いでした。
足踏み外せば溶鉱炉に転落死するガテンな職場で働く兄ちゃんや、小川脇の小さなポンプ場に住み込みで河守をする爺ちゃん婆ちゃん、新しい技術に見向きもせず旧来のやり方で体育会系の開発を繰り返す大手SI会社の会社員、でもって俺の実家の親父やおふくろ、そういったいろんな人に接してきてみていると、Geekの技術を持て囃しているような世界って、本当に狭い世界でしかないというのを実感として感じています。
別にそういった人達もPCも使えばインターネットだって使うわけですが、しかしながらそんな彼らがRSSリーダーや、ましてやソーシャルブックマークを使うようになる事は、かなり考えにくいと思ってます。
それは、教える教えないとかではなく、もし仮に教えても、使わない事を選択するでしょう。
何人かは使うかもしれません、少なくともしばらくは。でも、
RSSリーダーって知ってる?
知らない、何それ?
ほら、こうやれば、このサイトの最新の記事がチェックしなくても届くんだよ。
わー、便利。このサイトも登録してみて!あれ、登録できないよ、どうして?
あー、このサイトは外部のRSSサービスでRSS作ってるから、自動発見に対応してないんだねー。でもほら、ここにRSSってリンクがあるから、このリンク先のページを登録すればいいんだよ。
えー、何それ、全部自動じゃないの?何このページ?何書いてあるかさっぱり判らない。難しすぎ。いい、私には判らないからやめる!
って感じじゃないでしょうか。
RSSリーダを受け入れたとしても、SBMを、GleaseMonkeyを、受け入れるかというと疑問符...です。
今のWeb2.0の構成要素が一般人に受け入れられるようになるのは、それこそブラウザの標準機能としてRSSリーダやSBMとブラウザ自身のブックマーク連携が出来るようになって、それが特別な新しい機能なんかではなく、そういうものを含むのがインターネットだ、とのイメージが浸透して、さらに「できる」「初めての」とかなんとかのシリーズでRSSリーダやSBMの使い方なんかが現われて、それからの事になるはずです。
そんなレベルまで技術を枯れさせるためには、今のGeekの突っ走りが必要なわけですが、でもその突っ走ってる感覚で周りがついてこないのをおかしい、とか語りだすのは、ちょっと違うのではないの、と思います。
別に時代の先を行く天才の世界観が世間のそれとちょっとずれていたとしてもそれは別に全然構わないのですが、ちょっと度が越えていると危ないな、と危惧する点が2つあります。
1つ目は、せっかくの新技術を使ったビジネスの場が狭まるのではないかということ。
先にも書いたとおり、Geekやそれにキャッチアップできる人だけの間で盛り上がるような視点しかないと、一般の人、それも年配の人々なんかを商売の対象として巻き込めないのではないかと恐れます。
社会の人口構成がピラミッド型ならそれでもよいのですが、少子高齢化、団塊の世代が世代トータルの勝ち組として勝ち逃げフェードアウトしていこうとしている時に、そいつら無視して少ない側だけで、盛り上がっているように見えつつ実は尻尾の食い合いしてるだけって、それってどうよ、とか思ってしまうのです。
もっと年寄り巻き込んで、そいつらに金吐き出させる方法考えないといけないんじゃないの?とか思ってしまいます。
2つ目は、この技術分野だけで閉じてしまって、他の技術分野との協調発展の方向性が閉ざされてしまうのではないかということ。
今までGeek、Geekと書いてきましたが、正確には「情報科学分野のGeek」なわけなんですよね。
情報科学分野のGeek、すなわち技術的専門がそのまま話題を振りまく手段でもあるので、今話題を集め持て囃されているわけですが、その中で話題が盛り上がって、俺達は未来を作っている、とかいう気分になったとしても、それは正直、四角い箱と四角い画面、それにたくさんのボタンのついた板と鼠さん、その1セットで完結した装置の世界だけでの話ですよね。
例えば身体に多少の障害を抱える私なんかからみれば、その閉じた世界の中で、AJAX、これこそが次世代の、最良のインタフェースとか盛り上がられても、その操作に結局キーボードとマウスを使っている限りは最高に鬱陶しいインターフェース以外の何者でもなくて、それよりむしろ、今までのインタフェースでいいから、キーボードやマウスを、もっと手に優しいインターフェースに変えて欲しい、と思ったりします。
そういうハードウェアUIはそれはそれで、どこかにGeekがいたり新しい動きがあったりするのだと思うし、そういうのとソフト的なインタフェースが連携し融合すればもっと面白いことが起こるような気がするんですが、とにかく派手で判りやすいソフト分野の技術だけが話題を呼んで先走りすぎてて、そういう方向性が生まれにくくなっているような気がするのです。
宇宙開発技術のGeek、電波通信技術のGeek...私の知人にもいろんなGeekがいますが、そんなそれぞれの分野ではGeekの人でも、専門外のことでは、年寄りでない私の同い年の同期ですら、Windowsの設定変更がなかなかできない奴だっている。
そういう人達は情報技術には疎いわけなので当然今のネットワーク社会上ではサイレント・マイノリティなわけですが、しかし専門分野ではすごい技術の持ち主なので、ソフト・情報科学のGeekと連携できればすごいことができる可能性だってある。
その可能性が、情報科学のGeekばかり突っ走りすぎてることで機会が失われてやしないか?というのが私の心配する点であったりするのです。
Excerpt: や、Geekの皆さんはネタとして色々書いているだけで、別に本気で言ってるワケじゃないと思うんですが。
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