2007年01月13日

「反戦軍事学」は全くダメ

Posted by nene2001 at 01:59 / Tag(Edit): military / 0 Comments: Post / View / 1 TrackBack このエントリーを含むはてなブックマーク

反戦軍事学という本が出ていた。
コピーは「戦争に反対する者こそ、まず軍事を知らねばならない」というもので、至極最もな話。
というわけで、買って読んでみたのだが...。

反戦軍事学
反戦軍事学
posted with amazlet on 07.01.13
林 信吾
朝日新聞社
売り上げランキング: 6146
おすすめ度の平均: 3.0
1 左翼の自己満足が気持ち悪い
1 筆者には問題をまともに議論しようとする姿勢がない
5 あくまで現実的な戦争批判

結論から言うと、全くダメ。
Amazonの書評にもあるが、単に作者のPOVのプロパガンダになってしまっている。
念のために書いておくと、結果として私の考え方は、違うところは多々あるが(靖国とかははっきり言って興味ないのでどうでもいいし、ミサイル防衛に関しては私は墨者なのでむしろ防衛のための技術は推進論者だ)、基本的な温度は作者と近いところにある。
でも、帯とかコピーとか見る限り、この本の主旨ってそういう作者のPOVの押し付けじゃないはずだろう?
軍事知識を身につけて自分で考えれば、自然と反戦思想にたどり着くはずだと、そういう主旨のはずなんだろう?
既に一方的に定まった視点を植えつけるのではなく、自分の頭で考えるための、材料を提供するための本のはずだ...少なくともコピーなんかを見る限りは、俺はそう受け止めた。
作者の考えを説明するためだけの断片的な軍事知識だけ説明したって、たとえそれが仮に正しい知識であったとしても、議論の場で読者がこの本を鵜呑みにして主張したところに、別の軍事知識を引かれて反論されたら、読者はどうやって再反論すればいいんだ?
そんなことにならないためにも、偏らない正しい知識を示すべきだったのであり、その結果自分で考えてどういう結論を出すかは読者に任せておけばいいのだ。
いやもちろん、自説の主張がしたいのならばするのは自由なのだが、それならばそういう体裁の本にすべきであり、基本知識を解説する、といった体裁の本にはすべきではない。

出だしはちょっと期待したんだけどねえ...。
近未来、国防軍が出来たと想定しての、軍隊生活がどんなものになるかが書かれてたりして、それなりにリアリティがあったので。
んで、次章へと進んで、さあ、正しい軍事知識を身につけるためにどのように戦史に食い込んでいってくれるんだ?
昨今の、国家間の総力戦から国家の枠組みを越えた低強度紛争への対応が中心となる時代、また「相手に我が方の意志を強要する」ための「政治の継続」としての手段が、物理的な破壊を伴う軍事力だけでなく、経済、情報技術、メディア、その他もろもろのあらゆるテクニカルな手段の有機的な組み合わせとなっていく時代において、昔の戦争のイメージを引きずった右派のロマン主義的な戦争観や左派の残虐、絶対ダメ!的な戦争観をどう突き崩していってくれるんだ?
とか期待して読んでたんだけど。
最初の章以外は、単に自分の意見と違う主張をしている論者に対し、それにツッコムためだけの断片的知識を並べているだけで、全く包括的ではなくプロパガンダ的で全然面白くない。
まだ自分の意見が述べたいのならば、中途半端に他人にツッコム形ではなく、例えば日本の国防政策が、兵器国産にこだわって異常なコスト高な状態に置かれている一方で、継戦能力を持つに必要な食料の自給率なんかは完全に外国頼りで、国家戦略として破綻・分裂してしまっているあたりなんか、集中してもっと詳しく掘り下げればよかったのに、他人へのツッコミの合間に混ぜて時々自説を小出しにするという形にしているせいで、重要な論点が分散してしまい、飲み込みの悪い人が読んだら何が重要な点なのかさっぱり気付かずに終わっちゃうんじゃないの?というようなところも多々あったりした。

あとがき読んで知ったんだけど、この作者の人、6年も前だが「戦争に強くなる本 入門・太平洋戦争」というのを書かれている。
その本は俺も買った(今手元にはないけど)けど、かなり面白かった。
あの温度で今回も書けばよかったのに。

あ、話は全く変わるけど、墨攻って映画化するのな。
これは行ってみたい。
というか、墨子やコンスタンチノープル攻防戦みたいな外郭都市の防衛戦ってすげえドキドキするんだけど、この辺どっかゲーム化してくれたりしないかなあ。

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反戦軍事学
Excerpt: 書名:反戦軍事学著者:林 信吾版元:朝日新聞社 ※本書についてはおすすめできな
Weblog: 本日の写真(と最近読んだ本)
Tracked: 2007年03月10日 12:33
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