2008年12月21日
AMNブロガーミーティング「ユビークリンク/全力案内!」に行ってきました。
AMNブロガーミーティングというのがあるらしくて、知人のhachimituさんが行けなくなったと言うことで代わりに言ってきました。
私はAMNってよく知らなくて、小飼さんとこにブログパーツとかはってあるのでアルファブロガーとかの限定サロンかな、くらいに思ってたのですが、なんかメーリングリストがあってそれに参加するとこういうイベント情報が流れてきて、自由に参加できるみたいですね。
まだ参加してないけど、参加してみようかなと思います。
で、今回代理参加したミーティングが、『株式会社ユビークリンクと携帯総合ナビゲーション「全力案内!」』。
割と業種が近いので、「全力案内」の名前だけは以前から知っていたのですが、これまではよく正体が判らない感じでした。
仲間うちでも、地図が無料化されたりナビタイムが台頭してきたり、そもそもキャリア自身がネイティブ地図やナビを付けてきて競争が厳しくなっているところに、後発でわざわざ参入してきて物好きな会社だな、的な空気しかなかったのですが。
でも、今回のミーティングを聞いて、ナビとか地図とかそういう既存プレーヤーがたくさんいる技術やコンテンツがコアではなく、道路情報という競合はVICSくらいしかいない新しいデータコンテンツをコアとして展開しようとしている、面白い&すごい会社でありサービスであることが判りました。
「ユビークリンク」は野村総研の100%子会社で、10人程度の体制だそうです。
で、全力案内というサイトのイメージから、ナビ技術の会社のイメージを持ってしまいますが、その実は、先にも書いたとおり交通情報コンテンツの提供元だそうで、その意味では道路交通情報通信システムセンターが出す VICS交通情報と競合するデータプロバイダのようです(その意味では、その後の懇親会でも話されていましたが、別に自分たちでサイトを立ち上げなくてもナビタイムにデータを売る等でB2Bで稼ぐと言う方向性もあり、それは全く否定していないそうなのですが、実際にデータを使う人の声に接したいということで、自分たちでB2Cを始めたとのこと)。
で、その持っている交通情報データと言うのが、全国主要都市で提携した10000台強のタクシーのリアルタイム位置データを元に生成した、各道路ノードのリアルタイムの流速データだそうです。
通常、VICS交通情報というのは、全国の総延長7万km程度の主要幹線に、公的機関が設置したセンサの情報を元に生成されるのですが、それでは全国83万kmに上る、生活道路を除いたナビに使える道路のうち、10分の1程度しか把握していません。
よって、一般のVICS道路情報を使う限りでは、幹線が混んでいるか空いているかは判るのですが、混んでいるからと脇道に入っても、そこが混んでいるのか空いているのかは全く判らない、という状況に陥ります。
ドライバーへのアンケート等でも、渋滞に巻き込まれたドライバーが迂回しない理由を尋ねると、一番大きな理由は「迂回してもその先が空いているかは情報がなく判らないから」だそうです。
が、ユビークリンクの各タクシーについたリアル位置情報(そういうふうにして得られた位置情報を、ITS業界ではプローブ(探針)位置情報と言うそうです)では、実際にタクシーが走ったところがカバーしている道路になりますから、理屈上は全国83万kmの道路全てがカバー範囲になり得るといえます。
実際、ある瞬間のリアルタイムの流量情報把握カバー率を、3次メッシュ単位で%を出したところ、都心ではほぼ70-80%程度の把握率のようでした(もちろん、0%というところもありましたが)。
このような、「実際の自動車の位置情報=流れ」をプローブ把握して、VICS以外の独自情報としてナビに使おう、という発想は、各自動車/カーナビメーカ等も目をつけていて、ほとんど導入されている仕組みらしいのです。
が、ただ悲しいかな、そういう形でカーナビ同士の位置情報をプローブ把握しても、マイカーの利用は大抵土日に固まってしまい、稼働率も悪く、またマイカードライバーは大抵幹線を好んで走るので、情報が十分に把握しにくいそうです。
なので、一般カーナビ等ではプローブ情報を得てもリアルタイム利用はできず、「土日の何時ごろは混みがち、空きがち」といった統計情報しか使えないらしいです。
ですが、ユビークリンクのタクシーを使ったプローブだと、ほぼタクシーは24時間フル稼働していますし、プロのタクシードライバーは幹線にこだわらず脇道でも通るので、精度が高くリアルタイムに利用可能なプローブ情報を得られているようです。
実際に
- ナビなし
- VICSベースのナビ
- リアルタイムプローブ情報ベースのナビ
を品川?日暮里間の11回試行で比較したところ、
- 到達時間(他ケース比較12?30%短縮)
- 到着時刻予測精度(平均4.6分、他ナビ11.3分。また、予測時間に対する誤差1割)
- 燃料消費(最大19%、平均10%削減)
を、プローブ情報ナビは達成できたそうです。
特に、燃料削減が注目すべき点で、普通空いている道迂回と言うと、混雑を避けて回っていくので距離は長くなり燃料消費は多くなりそうなのですが、個々の混雑に出会ってから迂回ルートを探すのではなく、まず全体のルートから、もっとも空いているルートで計算するので、速いルートを選びつつ、かつ最短に近いルートで行けるそうです。
そのような独自データを元に切り込んできたユビークリンクですが、技術力以上に個人的にすごいなと思ったのは、実際にリアルタイムタクシー情報を集めてこれる体勢を作り上げたことです。
タクシーの位置情報が共通仕様のWeb-APIで公開されてる、みたいな状況では全くなくて、それどころか業界全体に情報を提供するよう強制できる業界団体のようなところすらなくて、個々のタクシー会社と個別に契約を結んで、地道に精度を上げていっている。
(もっとも、実際に交渉を担当された方ともお話したのですが、下手に牽制しあって意思決定が遅い業界団体とかと交渉するよりは、個別に交渉した方が動きがとり易い、とおっしゃっていましたが)
また、各タクシー会社で方式もプロトコルもデータ形式も違う位置情報管理システムから、データを収集する部分でもいろいろ苦労はあったんじゃないかと思います。
担当者の方はさほどの苦労でもないです、と言われてましたが、タクシー会社の担当はそんなシステムなんかに詳しくないので、各々の開発ベンダまで出向いて交渉しなかったりしなければいけなかったようですし、測地系だのDMS/度表記だの、異なるデータ形式をフィルタしてデータを集めているので、リアルタイム情報だけにそのディレイが馬鹿にならないとか、そういう話もされていました。
私も過去、データの配信プロトコルもデータ形式も違うプラントの各ベンダ各種制御機器からデータを収集し統計をとるシステムとか作ったので、情報提供してくれないベンダとの交渉の苦労や、物理インタフェースまで含めて異種データ間のインタフェースを作る苦労なんかは実感できます。
でも、個々のタクシーのリアルタイム位置情報を得ること自身は、既にタクシー会社各社程度の差はあれシステム化されていて、今のタクシー業界は、いかにすばやく顧客のいる場所に配車できるか、が勝負の世界になっているようで、システム化されていない業者は生き残れないような状況になっているとのこと。
昔のタクシーではよくうるさく通信が入ってきてたような、アナログ通信の音声での位置把握・配車はなくなって、デジタル無線とGPSでの位置把握・システムによる配車に置き換わっている。
むしろ、ユビークリンクの方が、当初プローブ統計情報が欲しくてタクシー会社にコンタクトしたところ、思った以上の業界システム化の現状を知って、これならプローブリアルタイム情報でもOKだよね、ということになったらしい。
私がまだ関西にいた6年ほど前は、住所を伝えても配車してくれなくて酷い目にあったりしたこともあったけど、随分時代は変わったみたい。
VICSという官製のトップダウン交通情報システムに対して、プローブ位置情報という草の根情報を集めて交通情報システムを作るという関係は、ちょうど位置情報で言えばGPSとPlaceEngineの関係みたいで、面白いなと思った。
官製システムが全域をくまなくカバーするのに対し、草の根システムがやはり草の根が多い都市部からの対応になるところも似ているし、(理由が違うので偶然とはいえ)草の根システムが対応しているところでは、草の根システムの方が正確な情報になるところも似ている。
これまでは天から降ってくるのが当たり前、と思い込んでいたいろんな情報も、視点を変えれば草の根的に補完できるものがもっとあるのかもしれず、それをいち早く見つけたのが、PlaceEngineやユビークリンクということになるのでしょう。
ただ、それを見つけ、実現するには、やれ今風の提供されたWeb-APIを机上で結びつけてマッシュアップ、とかそんな感覚では駄目で、ユビークリンクさんのように一つ一つタクシー会社を回って交渉したり、PlaceEngineのように全国走り回ってWiFi基地局情報かき集めたり、そういう昔ながらの泥臭い活動が、新しい価値創造には必要になるのだと改めて実感しました。
唯一今回のユビークリンクさんの発表で首肯出来なかったのが、「今のカーナビは、道路情報を車載端末に送り、端末でルート計算をしているが、リアルタイムな道路情報を用いる場合は、各端末に全道路情報を送って計算させるのは現実的ではない。未来のカーナビは、刻々と変わる道路情報を考慮してサーバ側でルート計算をし、結果だけを端末に送る形になるべきだ。」という話でした。
それは、現在の時点でできること、という前提の元でならば納得ですが、遠い将来的にもそれが最善か、という意味においては、全く首肯できません。
ミーティングに参加されていた「チミンモラスイ?の中の人」も、質疑の際に「オフラインになってしまうと使えなくなってしまうというのはいかがなものか」といった趣旨の質問をされていましたが、私も同感で、も一つ突っ込むと、せっかくプローブ位置情報というその局面局面、時間的にも空間的にもローカルな情報を用いているのに、それを利用するには中央システムへのコネクションが成立していなければできないというのでは、本質的ではないと思うのです(似たような話は、別分野ではありますが以前の記事にも書きました)。
今現時点では無理だとしても、遠い将来的には、各ローカル局面でプローブ同士がアドホックに情報交換しあい、中央サーバにアクセスしなくても局面局面で各ノードが自分達の問題を自己解決していくような、そういう方向性に進んで欲しいなと思います。
アイヌリンク:
詐欺師munyuuとのお笑い大戦で疲れ果てて、しばらく忘れてました。
アイヌ民族史、コミックに 登別の横山さん 「イ シカリ」第1巻発刊
故赤塚不二夫さんのアシスタント第一号で、市内在住の漫画家、横山孝雄さん(71)が、アイヌ民族の歴史を描いた歴史コミック「イ シカリ 神うねる河」(汐文社)の第一巻を発刊した。シャクシャインの戦いなどの史実を盛り込んだ意欲作で、横山さんは「集大成のつもり。若い世代に読んでもらいたい」と話している。
Excerpt: 12月18日に開催された『「次世代交通情報を考える」ブロガーミーティング』に参加してまいりました。 (ブロガーではないですが...) 「12/...
Weblog: チミンモラスイ?
Tracked: 2008年12月21日 12:37
Excerpt: 本題の前に、以前の記事にもらったはてブにちょっとお返事コメント。 ...
Weblog: ここギコ!
Tracked: 2009年01月10日 10:02
レポートありがとうございました!
急にお願いしちゃってすいません。
でも、レポートみて、あたりまえですが、
僕よかここギコさんに行ってもらって良かった(笑)
このデータは使いたいですねぇ。
Posted by: hachimitu at 2008年12月21日 14:01いえいえ、こちらこそ面白い場に参加する機会をもらえてありがとうございます。
データは使いたいのですが、いかんせん「リアルタイム」のデータだけに、こっちも「リアルタイム」なコンテンツをなんか用意しないと噛めないですね。
リアルタイムでない、出発前のPCでの事前検索とかでしたら、統計情報で十分だしそっちのが安いでしょうし...。
かといって今のうちでリアルタイムコンテンツというと、ちょっとまだ思いつかないです。
![[ここギコ!]](http://kokogiko.net/logo.png)



・京都外国人排斥カウンターデモの「反日上等」「日の丸ウンコ」とかについて(**)
・3Dどきゅめんと…って何?点字文書?(MrSwant)
・3Dどきゅめんと…って何?点字文書?(Ufoceleb)
・コロカの詳細が判りました&店舗誘導における来店検知の方法について(kokogiko)
・コロカの詳細が判りました&店舗誘導における来店検知の方法について(通りすがり)
・可視光通信って自位置特定にも使えるんじゃないか(Light Wire)
・新型インフルエンザでマスクとか(和知父くま)
・気持ちのよいサービス2:タクシーに携帯電話忘れたら届けてくれた(あああ)
・「ちっ、早すぎたな」と捨て台詞が言えるだけの何をお前はやったのか(kokogiko)