2008年12月27日

ケータイ位置情報ゲームにおいて、あるべき理想のマネタイズパターン

Posted by nene2001 at 22:46 / Tag(Edit): ケータイ ゲーム ジオメディア マネタイズ / 1 Comments: Post / View / 2 TrackBack / Google Maps このエントリーを含むはてなブックマーク

「ケータイ位置情報ゲーム」というゲームジャンルがある。
ケータイのGPSや基地局位置情報等を取得できる機能を使い、ある場所に来た記録をスタンプラリー的に競ったり、移動距離を競ったり、或いはそれらの値を変数に起こるイベントを楽しんだり、ユーザ間のコミュニケーションを楽しんだりといった類のゲームだ。
まだまだ市民権を得ているとは言えないゲームジャンルではあるが、一部ユーザの熱狂振り、そしてその行動力は驚かされる物がある。

あんてなめぇ」という、au/KDDIケータイで遊べる、個人運営のケータイ位置情報ゲームがある。
おそらく、ユーザ数規模は数千人規模のサイトなのだが、先日、参加者全員を6チームに分け、14日以内のチーム全員の累積移動距離で勝敗を決める、という期間イベントがあったのだが、非常に盛り上がり、参加者全員での総移動距離が56万5612.4kmにも達した。
実に地球14周分だ。
会員数はまず確実に3000人以下だと思うが、仮に3000人だとしても、アクティブユーザはだいたい50%程度として、1500人で56万kmを動いたとすれば、1人あたり380kmほど、14日で動いた計算になる。
確か、記録が残ってないのでうろ覚えなのだけれど、トップの人は一人で14日間に2万km近く動いていたはず。
地球半周、JRの全営業kmに近い距離を、別にトップになったからといって景品がもらえるわけでもない、コミュニティも小さなゲームの期間限定イベントのために動いている。
悪い意味ではなく、尋常でない情熱だ。

この手のゲームサイトで、マイナー分野とはいえ今大きいのは、「ケータイ国盗り合戦(13万人程度)」と「コロニーな生活PLUS(9万人程度?)」なのだが、先日、前者のユーザオフが新宿であったため、参加させてもらう機会があった。
国盗り合戦はぶっちゃけ簡単に説明すると、日本全国を600国に分けたスタンプラリーゲームなのだが、その場に50人ほど集まったユーザは、半数近くが既に600国を制覇したコミュニティ内では神のようなユーザであり、残りのユーザも最低でも3桁以上の国を盗っているようなコアなユーザの集まりで、私など参加するのが恥ずかしいくらいの場だったのだが。
その場でいろいろユーザから聞いたりした感じでは、もちろんどのような移動手段を使うか、等によっても違うのだけれど、全600国を制覇するには、だいたい60万円くらいの移動費や宿泊費が必要になるっぽい(国盗りは私は関係者でもあるので念のため書いておきますが、飽くまで公式見解ではなく、個人の私的試算です)。
その他いろいろなファクターを考慮に入れて私的試算を弾いてみると、オフに出られたユーザ方50人だけで、最低でも1500万円はこのゲームのために使っていそうな感じだ。
すごい情熱、パワーだと思う。

しかしここに、この種のゲームのジレンマがある。

ユーザはこの手のゲームを遊ぶために、すごいお金をつぎ込んでいるのだが、残念ながら今のところ、その投資が直接運営側に還元される経路がなく、お金はおそらくこの手のゲームの存在すら知らない、ガソリンスタンドであったり鉄道会社であったりバス会社であったり、旅館・ホテルであったりに落ちるばかりだ。
ユーザから見ればむちゃくちゃ金のかかるゲームであるにもかかわらず、運営側は無料ゲームと同じような状況で、マネタイズの方法に喘いでいる。
このままでは、いずれ双方が疲弊して共倒れになりかねない訳で、悪く言えば「Lose&Lose」の関係になってしまうわけだけれど、これは隠れたもう1つのプレイヤーにとっても不幸な状況だ。
つまり、今ユーザがお金を落としているGS・鉄道バス・旅館等で、これらは今この手のゲームが続いているために、知らず知らずの間に若干なりとも潤っているわけだけれども、これが双方息切れせずに続けば、その潤いが恒久的に続くわけだけれど、双方息切れしてしまえば、そこでオシマイ、となってしまう。
このままでは、「Lose&Lose&Lose」だ。

理想的には、本来はこの手のゲームサイトが喚起する移動需要や宿泊需要から、発生した移動費・宿泊費に対して、ゲームサイトが広告費を得られるような形になるべきだと思う。
例えば、

  • ゲームサイト上で、ユーザが遠征計画や遠征手段等を入力する。
  • システムは通常のルート探索だけでなく、お得なクーポンの使えるガソリンスタンドだとか、安い切符の使える鉄道ルート、宿泊計画等を含めて、最適な移動ルートをリコメンドする。
  • ユーザが遠征計画を決定し、クーポンやチケットを購入すると、それによって広告費がサイトに支払われる

とか、そのような形であるべきだと思う。
このような形になれば、

  • ユーザは安いお金で旅行が楽しめてWin
  • サイトはユーザの移動需要を喚起したという、サイトの本質的な特性からマネタイズできてWin
  • 交通・宿泊業者等は、継続的な需要を喚起できてWin

と言う形で、3者が「Win&Win&Win」の関係になれる。

今は、上のような仕組みがまだない状況なので、この手のケータイ位置情報ゲームサイトでも普通のケータイサイトのように、他の有料サイトの広告を張って成果を得る、といった形でマネタイズをせざるを得ず、それは過渡期として全く仕方ない状況だ。
しかしながら本質的には、ゲームのために移動に多大なお金を支払ってくれているユーザに対し、いかにマネタイズのためとはいえ、さらに他サイトに有料加入させて糧を得ようというのは、ユーザへの裏切り行為に近くなる(批判をしているのではなく、現状はそういう方法しかほぼないので全くもって仕方ないのだが、本質的にはそのような構造になる、ということだ)。
ましてや、この手のゲームサイトは、10歳から20歳代が中心の一般的モバイルサイトと違い、30歳から40歳、上は50歳代までも含む高年齢層が占めるという特性の違いもあるわけで(リンク先資料6ページ)、ということは加入させようとしているサイトはユーザにとって必要のないサイトである可能性が高い、ということになり、よりその傾向が高くなる。
やはり、将来的には、サイトの本質である移動需要の喚起そのものから、マネタイズできるようになるべきだ。

また、ここで述べている「移動需要の喚起からのマネタイズ」と似てはいるが非なる構造として、スポンサーをつけて、スポンサーの行かせたいところをゲームの目標に設定し、そこにユーザを誘導することでお金を得る、という構造がある。
これも、過渡期としては全く仕方がない構造で、そもそも理想的な「移動需要の喚起からのマネタイズ」構造を構築するためには、交通・宿泊業者等にこの手のサイトの価値を認識してもらう必要があり、そのためにはスポンサー主導でユーザを動かすことも必要な一過程ではあると思う。
ただ、このような構造は一時的には面白いかもしれないが、長く続くと、ユーザにはお金のためにいいように踊らされている、という感覚しか与えず、ユーザの離反を招きかねない。
やはり本質的には、どこに行きたいか、何を楽しみたいかを決定する主体はユーザであるべきであり、サイトやスポンサーはその手助け、スタンプラリーとして行ったことを証明したり、旅行の記録や思い出を預かったり、安く行ける手段を提供したり、そのような関わりであるべきだと思う。

====== 

的な事をちょっと前から考えていたのだが、最近「コロニーな生活PLUS」をやり込むうちに、別の選択肢もあり得る(というか、まさにコロプラが採っている戦略だが)のかなとも思い始めた。
それは、お金を使って派手に動いてくれる一部のコアユーザを徹底的に有利な立場においてサイトの中でスターユーザ化させることで、それほど派手には動けない大多数のユーザに「私も動けないなりに、同じようなレベルで楽しみたい」と感じさせ、そういう層にサイト内でお金を使わせるモデルだ。
実際、こう書いている私自身がコロプラを遊びつつ、忙しいし家庭もあるしでそんなに出歩けないのだけれど、派手に全国を飛び歩いているスターユーザ並に遊べるようになりたいと思い、それなりのお金をコロプラのアフィリエイトに投資してる。
このモデルだと、交通機関等にお金を払っているコアユーザは、コロプラ自体ではお金を払わなくても存分に楽しめるし、動かないユーザは、そもそもスターユーザのように移動に投資していないのだから、コロプラに投資させても別にユーザへの裏切りでも何でもない。
実に巧みでうまいなと思う。
さらにコロプラのうまいところは、ゲームに必要な通貨であるプラは基本的にリアル移動でしか貯まらず、後は所有するアイテムを売ったりといったユーザ間の売買でしか通貨は得られない。
リアル移動ではなくアフィリエイト投資で遊ぼうとするユーザは、直接通貨であるプラを入手できるわけではなく、アイテムを入手できるだけなので、プラを得ようと思うと、そのアイテムを売却処分してなんとかしてプラに変えなければいけない。
その意味で、どこまでいっても有利なのは実投資より実移動であって、この辺もスターユーザを優遇する、うまい構造ができている。
一方で、いくら実移動の方が有利だと言っても、昨日今日始めた動きまくるユーザが、何ヶ月もやっているあまり動けないけど実投資はしているユーザをあっという間に追い抜いてしまえばこれはまた面白くないわけだが、コロプラではこの辺の施策もうまく、最初は一日に移動できる距離や回数に制限があったりして必ずしもむちゃくちゃ動くユーザ有利にはなっておらず、続けていけばその制限をアイテムの効果等で撤廃でき、どんどん動くユーザ有利に持ち込むことができるようになっている。
つまり、今のスターユーザはその試練を乗り越えてきた、尊敬されてしかるべくのユーザというわけで、誰もほとんど不満を感じない、うまい階層社会がコロプラでは形作られている。

とはいえ、このモデルを成り立たせようと思えば、いくつか条件があって、まずほとんど動けずスターユーザになれない層からマネタイズしようと考える以上、ほとんど動けないユーザにとっても続けたいと思わせる、魅力的なゲームである必要がある。
実際にその場所に行かないと話が進まない、単なるスタンプラリー的なものでは構築できないモデルだ。
また、実移動有利という越えられない壁がある中で、ゲーム全体が何かの奪い合いのようなゼロサムゲームになっていれば、これは越えられない壁の内側にいる者にとっては不満たらたらになってしまうわけで、奪い合いではない、共に育てていく系のゲーム性でなければいけない。
この両者の条件ともコロプラは備えているので、採用できるマネタイズモデルではないかと思う。
計算尽くなのか偶然なのかは分からないけれど、実に神のようなゲームバランスだと思う。見習いたい。

アイヌリンク:

苦難の歴史明記へ アイヌ有識者懇、本格議論始まる

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Comments

移動需要の喚起で直接収益を実現させる、ということでいうと、やっぱり、顧客(交通機関やら宿泊機関やら)の営業アカウントをリアルで持っている企業が強いですね。例えば宿なら、じゃらんを持ってるリクルートとかですか。
そういうデータベースホルダ企業と同じく、莫大な固定費をかけて営業リソースを確保するほうにいくか、
それとも、
そのデータベースを活用した販促支援ビジネスを既に手がけている企業にとってのアフィリエイタ的存在になるか。

Posted by: Toshiya at 2009年01月07日 01:25
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